【(完全版)現地レポート】HR Tech Conference & EXPO in Las Vegas, 2022 - 株式会社Every

HR Tech Conference & EXPO in Las Vegas 2022


【世界最大のHR Techイベント】HR Technology Conference & EXPOは、2年ぶりの開催であった2021年に続き、2年連続の開催となりました。

このカンファレンスでは、HR Tech領域ベンダーが出展するエクスポ(ブース出展)に加えて、人事領域の専門家の講演、スタートアップのピッチイベントpitch(ベンチャー企業のプレゼン大会)等が行われています。

本ページでは、Every代表の松澤がこのイベントに参加した模様をご紹介致します。グローバルでは何が起きているのか、どんなテクノロジーが人事領域に活用されているのか、そして私たちは何をしたらよいのか、少しずつお伝えしてまいります。


【Day0】“From The Great Resignation to The Great Reset"

(ザ・グレート・レジグネーションからザ・グレート・リセットへ)


“The Great Resignation”という言葉をご存じでしょうか?Covid-19の世界的流行によって、アメリカではこの言葉がHR界隈でよく使われるようになりました。この言葉は、過去に類を見ない「短期間での大量離職」を意味しています。詳細は昨年のレポートをぜひご覧ください。

 

1年が経ち、どのような変化が起きているか。2022年7月のフォーチューン社の記事によると以下の様なトレンドがあると述べられています。

ここ数年来の離職者の波は衰える気配がなく、自ら進んで辞めることを選択した多くの人にとって、理想のキャリアの大改革が進行中である。今、仕事を辞めようと考えている従業員の数は約40%で、この数字はここ数カ月あまり変わっていない。3月にマイクロソフトが行った調査では、41%の労働者が退職を考えており、先週行われたマッキンゼーの別の調査では、この数字は40%になった。」(引用元:「Great Resignation shows no signs of slowing down: 40% of U.S. workers are considering quitting their jobs—here’s where they’re going」)

 

実際に、2022年7月の米国労働統計局のレポートによると、雇用数は640万人、一方でレイオフなども傾向は変わらず140 万人と大きな変化はないようです。つまり、労働力の不足があるのと同時にレイオフが進んでいる状態が続いており、人材そのものではなく、「能力」の不足が生じている事が言えます。これらはビジネスモデルの変革に伴い、仕事のリデザイン、並びに職場そのものの再構築が進んでいることが背景にあると言えるのではないでしょうか。 

 

では最後に、従業員側の価値観にはどんな変化が生じているか。このHR Techカンファレンス主催者でHRコラムニストのSteve Boese「The Great Reset leading to new workplace expectations(ザ・グレート・リセットが新しい職場環境に対する期待を先導している)」と述べます。Quiet Quittingと呼ばれるような企業へのロイヤルティの低下、リモートワークの普及、オンライン主体となるコミュニケーションによるチームワークの難しさ、健康や安全に対する意識の高まりなどなど。さらにBlack Lives MattersやAsian Hateなどアメリカ特有の社会的な動きに加えて、ミレニアル・GenZと呼ばれる新しい世代がWorkforceの中心となる事も、今後のHRの活動に大いに関わってくるという事を視野に入れておく必要があります。

 

以下の内容では、キースピーカーの講演や会場の様子など、私自身の気づきなどを共有させて頂きますので、皆様に雰囲気だけでも楽しんで頂き、少しでも気づきのある内容にしていければと思います。


【Day1】 エンゲージメントサービス、タレント&パフォーマンス&ラーニングマネジメントの出展企業が大幅に増加

【Day1】 "2022年の出展トレンド"

気づき・ポイント


  • ここでは、2022年のHR Tech Conferenceの出展企業を纏めてみました。(※弊社独自基準でのカテゴライズ)。昨年度との違いから直接的な会話に対する許容範囲の変化、領域別の変化に伴いHRニーズの変化が予測できます。
  • 特に、エンゲージメント領域の出展企業が昨年度比較で800%強の増加大量離職に伴うリテンションへの関心が急速に高まっている事が予測されます。また、大量離職が招く労働力の不足に対して、各種マネジメントシステムにおいても同様にニーズが強まっており(昨年度比較500%程度)、リスキルなどのタレントの活用に関するニーズの高まりも同時に考えられます。
  • そして、数字上は埋もれがちではありますが、ウェルネスやウェルビーイングに関しても昨年度比較350%で出展企業は増加しており、従業員の精神的・肉体的健康支援に関する問題意識の高まりを感じました。個別具体のサービスや講演に関しては、別途ご紹介したいと思います。

<2022年度エキスポ出展社 合計> 

428社
(内 スタートアップ・パビリオン参加社 58社)

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<主な分野>
AI・機械学習 60社
リクルートメント 125社
ワークフォースプラニング・アナリティクス 70社
ウェルネス&ウェルビーイング 49社
Engagement/recognition 83社
パフォーマンス・マネジメント 47社
Talent management / Succession 114社
Learning management system 41社

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<国別参加社 内訳>
アメリカ 385社(内 カリフォルニア 102社)
アイルランド 2社
イギリス 8社
イスラエル 2社
インド 2社
オーストラリア 2社
オランダ 1社
カナダ 13社
キプロス 1社
シンガポール 1社
ジョージア 1社
ドイツ 2社
トルコ 2社
ニュージーランド 1社
フィンランド 1社
ポーランド 3社
南アフリカ 1社

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【Day1】ジェンダーギャップの解消には132年かかる?

【Day1】Women in Tech(テクノロジーと女性)

気づき・ポイント


  • Opening Session | Employee Expectations in the New World of Work
    • 登壇者:Danielle Kirgan, EVP, Chief Transformation and Human Resources Officer, Macy’s
    • 登壇者:Natalie McCullough, President and Chief Commercial Officer, Guild Education
    • 創業150年超の老舗百貨店メイシーズは全米で総従業員数9万人、うち7万人が店頭販売員。女性の昇進促進と離職率削減を目指すため、エンゲージメント・L&D施策としてGuildと提携し教育プログラムを開始。資格取得から大学学位まで、118プログラムを無償で提供。参加した従業員の過半数が有色人種女性。
    • 対談中、マネジメントから見たワークフォースを一貫して「従業員(employee)」ではなく「colleague(同僚・仲間)」と呼んでいたのが印象的。他のセッションでも言及されていた、People-centricな姿勢が根底にある。
    • “Meeting where employees are at” – 相手が今置かれている状況を理解し、それに寄り添うことが不可欠。
  • Diversity Recruiting: Opportunities and Challenges (HRCI + Veritone + Aptitude)
    • 登壇者:Denise Caleb, President of HRSI, HRCI
    • 登壇者:Julie Harding, SVP, People Operations, Veritone
    • 登壇者:Madeline Laurano, Founder, Aptitude Research
    • 世界経済フォーラムのジェンダーギャップレポートによると、今のペースのままではジェンダーギャップを無くすのに132年(2022年時)もかかるという。では、どう軌道修正すべきか?
    • 組織のDEI促進には、未解決の問題をもオープンにする「誠実さ」と「透明性」が必須
    • そもそも、なぜDEIが重要か?顧客や従業員が多様だから。違いを強みにしていくために、リーダーシップも多様な視点を持つ/に気付くことが必要。性別や人種だけでなく、障害の有無や経歴の違いなど、汲み取るべき属性・要素は様々。
    • Employee Resource Group (ERG) – いわゆる、(主にマイノリティ当事者の)サークルのようなもの。やみくもに設立・運営するのでなく、systemization, governance, structure(システム、ガバナンス、構造)を考慮すべし
  • The Remote Employee Engagement Crisis. What Can Employers Do?
    • 登壇者:Casey Bailey, Head of People, Deel
    • 登壇者:Dave Carhart, VP, Advisory Services.Lattice
    • 登壇者:Deborah Hanus, CEO, Sparrow
    • WFH(Work from Home) の状況
      • 67%がWFHしており、34%の社員がエンゲージメント高く、16%はエンゲージメントが下がっている。更に34%の社員は副業をしている。 
    • なぜエンゲージメントが下がっているのか?
      • 組織文化を感じる機会や帰属意識の低下
      • “意図的”に人に合わなくてはいけない環境
    • オンボーディング時点から明確な期待値を設定する
      • ハイブリッド?WFH? チームの規則や嗜好は?
      • どの様に働く/働かないべきかを予め共有する
    • 大きなマイルストーンを設定する
      • ストーリーテリングによって、明確な絵を説明する
      • 進捗の感覚をもたらす
      • フィードバックの良い文化
    • マネージャーがすべきこと
      • 肉体的心理的安全な文化を形成する
      • オープンでありのままでいる 
      • 声のトーンを調整し会話を円滑にする
  • HR Tech Talk | Driving Engagement and Retention: Virtual Reality and its Impact on Workplace Culture
    • 登壇者:Gitta Barry, EVP and General Manager, REAL System, Penumbra, Inc.
    • VRを用いたハラスメント・差別防止研修を開発・提供。実写映像のシナリオに沿い、年齢差別、セクハラ、SOGIハラなどの問題発言・行動や対処をRPG感覚で学べる。従来の受け身な研修とは異なり、没入体験型なためエンゲージメントや内容の理解・習熟度が飛躍的にアップするという。
    • ウェルネス関連も含め、コンテンツは100種類、合計256時間に及ぶ。
    • 元々、重症患者や高齢者の医療的ケア・リハビリに特化していたプロダクトなため、他社に比べてUXが高いのも特徴。装置はヘッドセットのみでコントローラー要らず、VR酔いにも配慮。

【Day1 Final】Going ALL IN: Breaking Down Barriers to Transform Culture(全てをかける。組織変革のためのバリアの壊し方)

気づき・ポイント

  • Opening Keynote | Going ALL IN: Breaking Down Barriers to Transform Culture(全てをかける。組織変革のためのバリアの壊し方)
    • 登壇者:Cynthia Marshall, CEO of the Dallas Mavericks, became the first Black female CEO in the National Basketball Association.
    • 全米初黒人女性でNBAプロフェッショナルチームのCEO女性。カリフォルニアリッチモンド出身(比較的、貧困層が多く犯罪率も高いハードシップの高いエリア)の黒人女性が、UC Berkeleyを卒業し、36年務めたAT&Tの最高ダイバーシティ責任者兼・人事担当上級副社長からアメリカ初、黒人女性NBAチームのCEOになるまでの軌跡をたどったプレゼンテーション。AT&T時代に行ったヘルスケア施策(健康診断の実施)で自らがリーダーシップを取った際に癌が発覚。癌との闘病生活もサバイブした。
    • 彼女は、AT&Tにおける世界クラスのインクルージョン・ダイバーシティ文化の創造において主導的な役割を果たし、Diversity Incの2017年トップ50企業リストのトップ3に同社を位置づけ、その他にも2017年「ビジネス界で最も影響力のある女性25人」の一人に選ばれる。同年、シンシア・マーシャルは、ATHENA®リーダーシップ・プログラム賞を受賞。さらに、「アメリカ企業で最もパワフルな女性50人」の一人に。他にもTexas Women’s FoundationやDallas Regional Chamberなど、多くの非営利団体の役員を務めている。
    • “Education matters, ZIp Code doesn’t(生まれる場所が重要でない、教育が重要である)”.36年間のAT&T(日本でいう大手携帯キャリア会社)の経験からの学びから彼女は以下の様に動く事を重視している。
      • Take a Risk
      • Try something different
      • Conspire and contribute
      • Love the people
      • Do the right things
      • When it’s over, stop
      • Pay attention to all of it
      • Transfer your skills
      • Prepare
      • Accept diversity
      • Never give up
      • Protect the brand
      • Be grateful
      • Show up, Work hard
      • Make a difference
    • Leading with Heart=Intent, Inclusion, Insight, Inspiration(心で導く)。人事は時に定量的な意思決定が求められるが、常に人間的な動機を忘れない事が重要である。Intent(意図)として、ミッションとバリューを具体的に言語化することが重要である。
    • DEIの考え方として重要なのは、「All in(全てを考慮する事)」である。性別のみでなく、国籍や肌の色、宗教、出生国、性的志向、性格、文化、働き方、人口統計学的多様性のみならず認知機的多様性や生活スタイル、その他さまざまな要員全てにアプローチしてなくはならないということ。
    • 「Diversity is being invited to the party, Inclusion is being asked to dance(ダイバーシティとはパーティに招待されることだが、インクルージョンは一緒に踊ろうと誘われる事である)」
    • Equality and Equityの違いと夫々に対して、HRとしてどの様な解釈を持つかが重要である。マイノリティが自らEqualityの状態を選べるような階段をつくること(エンパワーする事)やフェンスそのものを取っ払う事が重要だ。
    • Are you all in?(全てをかけていますか?)

【Day2まとめ】進化するDEIアプリケーション


【参加したセッション】

・Business Imperative of DEI&B

Mega Session | Exceeding Employee Expectations in the New World of Work

Enabling Organizational Change Management with Conversational AI

Making Business Decisions with HR Analytics and Reporting

Workhuman Demo | Reinvigorating DE&I Through Your Return to Workplace Strategy

 

気づき・ポイント


「Great Job!! You are the role model for all women!! (素晴らしい!あなたは全ての女性従業員のロールモデルだ!)」の問題は?

 

DEI(Diversity, Equity & Inclusion)のセッションを中心に参加。昨年は数件であったDEI浸透促進のためのプラットフォームもさらに進化し、機械学習やNLP(自然言語処理)の力を駆使した「提案型アプリケーション」が開発されていた。後述のWorkhumanはNLP(自然言語処理)の技術を使い、例えば以下の様な文章に対してアラーを出してくれる。

ここでの問題は、「all women」という表現である。素晴らしい仕事をした従業員が「特定の」性別におけるロールモデルである必要はなく、「all employees」と言えるはずだ。アメリカでは今もなお「Discrimination(差別)関連の訴訟」は発生しており、Googleが女性の賃金格差において$118M(約165億円)の支払い命令が出たこともホットな事例だ。この判決の背景理解には、EEOC(Equal Employment Opportunity Commission)の理解が必要となるが、ざっくりと述べると「性別・国籍・出生国・肌の色・宗教などの要素によって就業機会や学習機会を提供・拒否してはならない」という所から来ている。
 
 
 
また、「働き方」に関してもユニークな見解があり、世界中でハイブリッドワークが中心となっている今、若手層の生産性には大きな影響がない(逆に生産性は高まっている)一方で、Cクラスと呼ばれる企業のエクゼクティブクラスには難しい労働環境であるとの見解もあった。ここでもVUCA (Volatility, uncertainty, complexity and ambiguity)な環境下で如何に働くモチベーションを維持・向上させていくかという難しい問いに直面する。
 
以下雑多なメモ。登壇者のYoutubeリンクも一部追加。
  • Mega Session | Exceeding Employee Expectations in the New World of Work 
    • 登壇者:John Boudreau, Professor Emeritus of Management and Organization, University of Southern California.
    • 登壇者:Greg Pryor, Co-founder, Connected Commons
    • “ポスト・コビッド・ストラテジー “は存在しない 
      • 波乗りの時代 – 永遠のチャンス、アップグレード、適応
      • シナリオ・プランニングは完璧にはできない
    • ソーシャル・アジリティ(社会性の機敏さ)
      • クロスファンクション・ブリッジング(他部門間の仕事の紐づけ )の減少 
        • シニアエグゼクティブに影響しているが、現場の最前線(特に若手層が中心となる現場)は影響を受けていない(実際、Covid導入後、生産性は向上している)
    • いつ、何のために集まるのか?を再定義する。
      • 活力を与える、目標を達成する、L&D(学習機会)、パフォーマンスのフィードバックのため、など取捨選択が必要となる。
 
  • Workhuman Demo | Reinvigorating DE&I Through Your Return to Workplace Strategy
    • 登壇者:Workhuman
    • DEI促進を阻む要因のひとつ、アンコンシャス・バイアス(無意識バイアス)。良かれと思ったポジティブな発言も含め、文面を通じたやりとりのうち20-30%はアンコンシャス・バイアスを含むと予想(Workhuman社調べ)。
    • そこで、Workhumanはアンコンシャス・バイアスやマイクロアグレッションを含む発言を改める一助になるよう、インクルージョン・アドバイザーを開発。いわゆるオートコレクトのようなもので、社内のチャットやメールの内容を送信前に確認し、言い回しなどに問題点があれば、理由と言い換えの提案がポップアップで表示される。

【Day2 Keynote Speaker】 The Disruption Never Stops: What’s New and What’s Ahead in the HR Tech Market(破壊は止まらない。HRテック市場の新情報と今後の展望)

Josh Bersin, Global Industry Analyst and CEO, The Josh Bersin Company

気づき・ポイント

HR Tech投資に関する権威であるJosh Bershinのプレゼンテーション。「The Disruption Never Stops: What’s New and What’s Ahead in the HR Tech Market(破壊は止まらない。HRテック市場の新情報と今後の展望)」というタイトルの通り、不安定な労働市場においてテクノロジーが更に変化していくトレンドを学べるプレゼンテーション。

コロナ下で起きた現象(①Microsoft Teamsが急普及し働き方が一気にデジタル化された、②Reskillの必要性が高まりオンライン学習プラットフォームが急成長した、③仕事そのものがポジションベースからプロジェクト・作業単位に変化していった、等)に大きな変化はなく、その延長線上で物事が動いていると言える。日本でも仕事の定義を明確にする動き(JDの作成など)が進んでいる中で、比較的、夫々の仕事の境界線を明確にするアメリカ内でも更にその動きは進んでいくようだ。現在やっている仕事の棚卸から必要な能力を言語化していく積立型のプロセス以上に、「必要な成果を生み出すために必要な能力の可視化」という逆算型プロセスがさらに加速すると予測している。

そのようなマーケットにおいて、カギとなるのは「Productivity(生産性)」であり、要は生産性が高まるのであればもっと自由に働ける環境にしようじゃないか!という機運が働き、私たちの活動を「効率的・効果的」にするツールが増えるだろうとのことだった。

その為のキーコンセプトが「インテリジェンス」であり、様々な定義があったがシンプルな言葉で纏めると「使いやすくて、簡単で、楽な」サポートシステムが求められ続けるだろう、とのこと。HCM(Human Capital Management)システムしかり、採用ツールしかり、育成ツールしかり。多くのAI技術が透過されることがもはや当たり前で、エビデンスデータに基づく提案行為が散らばるようなツールになるのだろう。一方、私たちは利便性を優先するがあまり、良い発見のために迷ったり回り道をしたり、考える、という作業をしなくなるのではないか、という危惧も同時に浮かんだプレゼンテーションだった。

 

以下、スピーチタイトル

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  • HR Tech EXCLUSIVE | The Disruption Never Stops: What’s New and What’s Ahead in the HR Tech Market(混乱は止まらない。HRテック市場の新情報と今後の展望)
  • 登壇者:Josh Bersin, Global Industry Analyst and CEO, The Josh Bersin Company
    • The growth of the HR Tech market and “the best stock in HR technology”(HR Tech市場の成長と “HRテクノロジー最強株")
    • The new HR Tech architecture(新しいHRテック・アーキテクチャ)
    • Why investors are changing their strategy in HR Tech(投資家がHR Techの戦略を変える理由)
    • How Employee Experience is flipping the market upside down(従業員体験はどのように市場をひっくり返すか)
    • The Next Gen HCM market(次世代Human Capital Management市場)
    • Growth and disappointments in SkillsTech(SkillsTechの成長と失望)
    • The emergence of Talent Intelligence(タレント・インテリジェンスの出現)
    • Incredible growth and consolidation in Recruiting Tech(リクルーティング・テクノロジーにおける驚異的な成長と統合)
    • Category creation of Talent Marketplace(タレントマーケットプレイスのカテゴリー化)
    • New world of corporate learning and the role of the Metaverse, Capability Academies(企業内学習の新しい世界とメタバース、ケイパビリティ・アカデミーの役割)
    • Why the Creator Market will disrupt L&D(クリエイターマーケットがL&Dを破壊する理由)
    • A new world of People Analytics and Employee Listening(ピープルアナリティクスと従業員リスニングの新しい世界)
    • The six things you have to know to manage HR Tech well.(HR Techをうまく運用するために知っておくべき6つのこと。)

詳細はこちらをご覧ください

【Day3まとめ】Defined Outcomes(明確な結果)に拘るHR機能がHRの認知を変えていく


【参加したセッション】

  • HR Tech EXCLUSIVE | The Public Debut of the 25th Annual Sapient Insights HR Systems Survey Key Findings
  • Startup Pitchfest | Final Round
  • Driving Employee Engagement With Modern HR Technology
  • Mindful Managers: The First Step to a Mentally Healthy Workforce
  • Mega Session | Taking Control of Your HR Technology Architecture

気づき・ポイント


HR Tech EXCLUSIVE | The Public Debut of the 25th Annual Sapient Insights HR Systems Survey Key Findings

登壇者:Stacey Harris, Chief Research Officer & Managing Partner, Sapient Insights Group

25年間の調査結果比較からHRやそのテクノロジーに対してどのような変化が起きているかを、Sapient Insights Groupのチーフ・リサーチ・オフィサーがプレゼンテーション。

  • 500名以上・5000名以上の企業となると、HRテクノロジーに投下するコストは54%~55%が増えているという回答があった。
  • その投下先は「採用活動」が主であり、この傾向は従業員関わらず見えている。またHRAnalyticsの領域は500名以上の企業規模となると第二位にランク。
  • 「Outcome-Focused HR Functions」が従来の機能的で保守的な人事に対するイメージを変えていく。定義可能・測定可能でステークホルダーが仕事を通じて達成するものがOutcomesの定義。

Mega Session | Taking Control of Your HR Technology Architecture

登壇者:Tony DiRomualdo, Senior Research Director, The Hackett Group

登壇者:Franco Girimonte, Associate Principal, NA HR Advisory Practice Leader, The Hackett Group

1991年に設立され、2008年に社名変更をしたハケット・グループ(NASDAQ: HCKT)は、知的財産をベースにした戦略コンサルティングと企業ベンチマーキングをグローバル企業に提供し、Digital World Class™パフォーマンスを可能にする主要な企業向けクラウドアプリケーションの導入、ワークフローの自動化、分析を含むデジタル変革を提案している。

The Hackett Group は、米国、欧州、アジア太平洋地域にグローバル拠点を持ち、グローバルでのシステム導入・統合経験を持つコンサルタントがそのポイントをプレゼンテーション。

    • HRテック戦略の評価手法 – 6つのステップ
      • 導入
      • 作業プロセスの標準化
      • 使用システムの標準化
      • 作業プロセスと使用システムの統合
      • 実行するエクスペリエンス
      • 洞察力
    • Step1: 組織を評価する
      • 組織全体の主要なステークホルダーを集める 
      • あらゆる側面から現状を評価する
      • 最優先事項の特定とイニシアチブの調整
    • Step2: ロードマップを作成する
      • アセスメントを利用した機会の特定
      • 改善機会およびギャップの優先順位付け
      • リソースの必要性を特定し、スケジュールを確立する
    • Step3: 定期的なモニタリングと更新
      • 年間を通じて優先順位を再評価し、それに応じてロードマップを調整する
      • 毎年アセスメントを実施し、進捗状況を確認し、新たな機会を見出す

【Day3 Startup Pitchfest】 Final Round

ピッチファイナリストをご紹介!

Translatorは、世界で最も先進的なDiversity, Equity, & Inclusion(DEI)グループトレーニングとデータ分析プラットフォームです。

Translatorは、最先端のSafeSpace™テクノロジーと世界トップクラスのコンテンツ、そして人を主体とした会話を組み合わせることで、より多様で包括的な文化を創造することができます。従業員のエンゲージメントと定着率の向上、多様な人材紹介の増加、環境社会ガバナンス(ESG)コンプライアンスへなどの適応が可能です。

引用元:https://www.translator.company/

SPOTLYFEは、人々が一時停止する習慣をつけることで、自分が望む人生とそこに到達する方法について意図的に考えることができるようにします。目標設定にありがちな、将来の大きな結果に焦点を当てるのではなく、意図的な設定によって、人々がどのように人生を経験したいか、その瞬間に現れ、目的地と同じくらい楽しい旅になるよう、目的意識を持つことができるのです。

引用元:https://www.spotlyfe.com/solutions/

Praisidioが依拠する情報は公開されており、既に組織内に存在しています。私たちのプラットフォームは、仕事量、人間関係、能力開発、昇進履歴、報酬、評価などのメタデータを分析し、SOC II認証の計算ワークフローを通じて、燃え尽き症候群、停滞、その他のリスクの傾向をリアルタイムに予測します。すべての情報は、企業のコミュニケーション、開発、ビジネスシステムから提供されます。

引用元:https://www.praisidio.com/

Illoominusは、Diversity, Equity, and Inclusion (DE+I)およびHRのリーダーが、職場の多様性へのコミットメントを管理し、多様な社員をリーダーとして育成できるよう支援します。

Illoominusは、リーダーが組織のDE+I戦略を活性化し、管理できるように設計されたデータ分析プラットフォームです。

Illoominusは、既存のソフトウェア・ツールのインクルージョン・データを一元化し、自動化されたレポートによって効率を高め、人事チームが他のリソースを必要とせずに洞察を得ることができるようにします。

引用元:https://www.illoominus.com/

JobSyncの人材獲得自動化プラットフォームは、あなたの組織の人材獲得技術スタックのための接続と自動化のハブです。
完全に自動化された統合機能により、求職者と採用担当者のためにカスタマイズされた体験を提供し、バラバラになった人材獲得エコシステムを接続、強化、自動化、最適化することができます。

JobSyncはIndeed、ZipRecruiter、キャリアサイトなどの既存の求人サイトをATSに直接つなげます。求職者は統合されたフルアプリケーションで職種特有の質問に答え、JobSyncはATSで採用担当者に直接求職者を送り、ATSが処理できない手動採用タスクを自動化します。

引用元:https://www.jobsync.com/

ModernLoopは、チームのカレンダーを同期し、面接官の空き時間、タイムゾーン、勤務時間、面接の負荷などに基づいて面接官を比較し、数千の選択肢の中から最適なものをわずか数秒で絞り込み、次の候補者面接のための最適なスケジュールを構築します。

メール、カレンダー、Slack、Zoom、Google Meets、応募者追跡システムなどと連携し、求職者に最高の体験を提供し、チーム内で採用活動を行うためのベストプラクティスを提供します。

引用元:https://www.modernloop.io/?

【総括HR Tech in 2022】現在地と今後

今回のHR Tech Conference in 2022に参加し、
大きなトレンドとしてつかんでおくべきキーワードは、以下の7点だと感じました。

①Great Resignation(大量離職)
②Quiet Quitting(静かなる終了)※1
③Great Reset(働き方の再構築)
④Work from Home(在宅勤務)
⑤Hybrid work rules(ハイブリッドワークのルール)
⑥Burn Out(燃え尽き症候群)
⑦School Shooting/Black lives matter(学校での銃撃事件/ブラックライブスマター)

COVID-19の影響を受け、米国の労働市場は「Great Resignation(大量離職)」と呼ばれる類を見ない「離職」が発生しました。

この現象は今もなお続いているわけですが、その中身には変化があり「②Quiet Quitting(静かなる終了)」と呼ばれる、「自分の役割を超えて仕事をしようとは思わないが、やめようとも思っていない社員が増える」という新しい現象がトレンド化しています。

ここ数年VUCAやテクノロジーの進化により、従業員の肉体的負荷・精神的負荷の高まりは問題視され、労働市場の変化(Z世代の参入)により働き方の価値観も変化し続けています。

そのような変化とCOVID-19が複雑に混ざり合い、過去の働き方を今一度見直し、「③Great Reset(働き方の再構築)」を期待する従業員が増えているという事が米国エリアでのトレンドでしょう。

そこで、「④Work from Home(在宅勤務)」も含めた「⑤Hybrid work rules(ハイブリッドワークのルール)」は、大きなトピックスの一つとなり続けます。

オフィスをどのように使うのか、その目的や意義の再構築も重要な時代になっています。これらに対するアプローチはまさに誰も経験したことのない、新たなイシューであることから、トライアンドエラーな取り組みが増えるのだと思いますが、
オフィスでのSocial Connectionが生まれない環境下では「⑥Burn Out(燃え尽き症候群)」は一つの顕在的イシューとして残り続けるでしょうし、
数年間のトレンドとして「③Great Reset(働き方の再構築)」は残り続けるでしょう。

今回のカンファレンスではエンゲージメントサービスが一つのトレンドであったわけですが、私個人としてそこに深いトレンドを感じたわけではなく、「離職→対策としてエンゲージメントケア」という短絡的な思考であるように感じます。

カンファレンス内で言及されていた「⑦School Shooting/Black lives matter(学校での銃撃事件/ブラックライブスマター)」のような社会的イシューも「③Great Reset(働き方の再構築)」には影響し続けており、改めてHRが社会的事象や従業員の個別課題を理解し解決していくスタンスが求めらるのではないでしょうか。

 

※1…エンゲージしている社員と会社に不満を持ち退職をする社員の中間にいる、「自分の役割以上のことをしようとは思わないが、辞めようとも思っていない従業員の事を指す